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蕨歯科クリニック
看板のように町に飛び出す歯科医院
建物と内装とサインが融合した歯科医院 −集合住宅の1階にある歯科医院としての建ち方−
内井昭蔵氏により設計された集合住宅の一階に、テナントとして入居する歯科医院の計画である。
建物の住民は、建物に愛着を持っていたため、どのような内装、ウィンドウサインになるのか関心があり、計画の段階から説明会を開催した。
一方、クライアントからは、山手通りと不動前駅に至る小径の二面に面したガラス面を活かして、歩行者からの視認性、歯科医院であることの認識されやすさと、住民の要望に配慮した建物全体の雰囲気に合うような計画を求められた。
・音環境も整える内装 空洞ブロックと吸音ボード壁
コストの面からスケルトン状態のコンクリート躯体あらわしで、内装を考えることが与条件のひとつであった。そのため、診察室の間仕切りは反響音を緩和するために、空洞ブロックと吸音ボードパネルの組み合わせで行うこととした。歯科医院にとって、治療中の診療器具の金属音の反響の低減やカウンセリングの会話が良い状態で行えるようにすることは良いことであると考え、空間を構築する要素として全体的にそれらを用いた。
塀などに使われる空洞ブロックのざらざらとした質感と吸音ボードパネルのファブリックの質感は、もともと持っていたこの建物の雰囲気やコンクリートあらわしの空間と相性が良く、違和感のないスペースとなった。
・建物と内装とサインの融合
人通りの多い山手通り側には、「ディスプレイブランディングスペース」と称した余白のスペースを設けた。
そのスペースではガラス面にスタッフが季節ごとの装飾や、住民による趣味で製作した物の展示がされることを想定している。
ガラス面には「歯っぽい」抽象的なかたちのサインとし、見る側や装飾や展示をする側にも想像させるサインを設置した。
空洞ブロックによる内装、装飾や展示物、「歯っぽい」抽象的なサインがウィンドウサインとして建物に溶け込むことで、相互に関係し合いながら全体として機能するサインをめざした。