敷地周辺は、農地が大部分を占める平原が広がっている。その中に建つ1500人の収容人数を想定した競輪の場外車券場、いわゆる観覧場である。
競輪サテライトのほとんどは、体育館のように箱に必要なスペースを詰め込んだような施設であり、施設の外部と内部は関係をもっていない。その箱に広告看板が取り付いただけの外観はとても退屈で、内部はとても退屈である。
ここでは、大きな観覧席と外部に開かれた回廊との間に緩衝帯として各諸室を設けた。そのことにより、観覧席から外の風景を垣間見ることができ、一方で観覧席に入る日光を調節する。緩衝帯が奥行きのあるブラインドとして機能している。また、緩衝帯の入口を回廊側に配することで、観覧席に付帯する共用部分を最小限に抑え、よりレースに集中できる観覧席としている。
本施設では全館避難安全検証法による検証を行い、法112条により区画される観覧席とその他共用部との区画を緩和し、法規的にも新しい観覧場のあり方として計画した。