雷門通りに面する「浅草雷門通り商店街アーケード」の老朽化による、改修に伴う外観デザインの変更である。
『継承と刷新』
浅草雷門に訪れたら誰もが目にするアーケードで、訪れた人の記憶に残る風景であり、地域にとってはこのアーケードの配色をモチーフにするほど市民権があるものである。一方、商店街振興組合からしてみれば、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けてデザインをリニューアルをして、商店街をより活性化させたいという想いがあった。
アーケードの形状はそのままとし、塗装する配色パターンを変えることで、記憶の継承とデザインの刷新を試みた。
■雷門、浅草の街並みとの調和 −緑・黒・朱−
雷門や歩道にある街灯、柵などの周辺に使われている色を調査し、経年変化も考慮した配色とした。
瓦は緑青をイメージした2色の緑、屋根は雷門通りのサインが認識しやすいように黒、柱は既存と同じ朱に塗装することで、人々の改修前の記憶がスムーズに継承されることに配慮した。
■「雷門通り」のサインとしてのアーケード
もともと設置されていた通り名のサインは、観光客にもわかりやすいように残すこととし、背面を黒とすることで銀色の文字が浮き立つようにした。また、緑の瓦と黒の屋根の間の部分は、既存の朱色を残し、それぞれの部分が特立した見え方となるようにすることで、アーケードとしての軽やかさをつくりだした。
■市松模様の瓦
緑青の色を市松模様に塗装することで、直線上の屋根に立体感を出した。アーケードを見る距離や角度の違いで奥行き感が生まれ、街並みに溶け込んだ「浅草らしいにぎやかさ」が出るのではないかと考えた。
一枚ずつ塗り分けられた鋼板の瓦は、浅草の粋や職人のこだわりを訪れた人々にあらわすことにもつながっている。