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海上町「道の駅」計画案

この施設は大きく3つの構成要素からできています。

3つの要素というのは、樹木、ベルト、建物です。これらは時間や季節によって違った風景を作りだし、この場所に訪れる人に新しい発見と行動を促したり、いつ来ても飽きることのない空間をつくりだすのに必要不可欠な物です。

樹木

この施設では8m間隔のグリッド状に木を配置しています。車の車路、駐車場などの機能的な寸法から導き出した間隔をグリッド状に配置することで人や車が自由に動きやすい状況をつくりました。また、グリッド状に配置しているため道路を走っている車からは見え方に変化を与えます。角度によって大きな木の塊のような物に見えたり、中が見透かせたりするのでこの付近のランドマーク的な存在になります。

樹木は落葉樹のケヤキなどを想定しています。建物は平屋で計画し、林の中に隠れるように建っています。夏に近づくにつれて葉が建物を覆い隠していきます。覆った葉が建物内部の空調負荷を軽減させてくれ、駐車場の照り返しを抑えます。また、冬が近づくにつれて葉が落ち始めると、徐々に建物が姿を現し、日射を確保していきます。

ベルト

ベンチのようなテーブルのような帯(ベルト)状の板が敷地に点在しています。人の行動を呼び起こすのは適切な家具が必要です。ただ木が生えているだけでは、その場所でどのような行動をとったらよいか悩んでしまいます。このベルトは73㎝の幅を持っており、ベンチやテーブルに使えるように高さを設定してあります(詳しくは別紙)。

大切なことは、その存在の仕方です。たくさんあるベンチがベンチにしか見えないと、人がいない季節や時間帯はとても寂しい光景ができあがってしまいます。ここでは人の行動にまつわる物を全てベルトにからめて作ってあります。なので一見すると一つの帯が繋がっているように見えます。これを整然と並んだ樹木とからめることで、単なるベンチではなく樹木と一体になったアートとして捉えています。これは人のいない時間帯でも寂れた感じをなくし、一人で訪れても犬の散歩にきても、楽しめる環境をつくり出すことができると考えています。

建物

建物はあくまで訪れる人の行動を補助するための物に留めており、必要以上に大きくとっていません。中央部に屋根だけのかかった半屋外部分を設けることで、朝市やフリーマーケット等のイベントを発生しやすくさせ、人の活動を誘発させるようにしています。そこからウイングが延び、サロン・情報スペース・売店などの必要最低限な機能を設けています。ウイングのメリットは機能上必要があれば増築もしやすい構成であることです。

変化する景観

この3つの構成要素しかありませんが、季節・時間ごとに多様な景観を作り出すことができると考えています。ベンチはくねくねと折れ曲がり、昼間は整然と並んだ木の中で存在感を発揮し、夜は木の根本に照明器具を設置することで、こんどは点々と木の存在が浮かび上がる光景を作ることができます。また、樹木を落葉樹とすることで季節ごとの景観は劇的に変化していきます。この施設を訪れる人が、これらを楽しみに繰り返し利用するための仕掛けです。

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