世田谷の閑静な住宅地に建つ2階建て住宅。
計画敷地の周辺は世田谷の住宅街のイメージそのままに、大きな敷地に庭が取られ緑豊かに住宅がゆったりと建っている。そのような大きな土地だったものが4分割された内の角地が計画敷地である。
小さな敷地では庭を取ろうとすると裏側はぎりぎりに建てなければ、必要な面積が確保できない。そこで各敷地境界から1m以上を取り、街の雰囲気に習いゆったりとした配置計画とした。また、基壇状だった敷地の高低差を生かし、1階床と道路面で高低差をつくりだしプライバシー性を確保した。
7.28m×6.97mの外形のシンプルな平面に出窓やバルコニー、インナーバルコニー、段々の屋根形状といった外部へと半歩飛び出すような場所をつくり、コンパクトな空間に縦横の奥行きを与えた。大きな出窓からはお向かいさんの豊かな緑が景色として取り込まれ、外部を感じることができる。
2階は天井高さ2.1m、2.6m、3.2mと出窓に向かって高くなる段々屋根としている。出窓や段々屋根の垂壁-袖壁がプロセニアムアーチのように働き、住宅に舞台の様な見る-見られるの関係を作り出す装置とした。
庭のない住宅は内向的になりがちだが、コンパクトでシンプルな平面計画に奥行きを与える操作によって、周辺環境とちょうど良い距離を持った住宅になったのではないかと考えている。