2022.4.15
  • コラム

2022年問題 生産緑地とは

1992年に生産緑地法のなかで定められた土地制度の1つに、

生産緑地」という土地があります。

最低でも30年間は、農地や緑地として活用するならば税制を優遇しますよというもの。

優遇内容は、固定資産税の軽減や相続税の納税猶予などです。

 

生産緑地になるためには、

500㎡(2017年に改正され300㎡)以上の広さがあること・

30年は解除不可・農林漁業を継続といった制限をクリアする必要があります。

日本全国どこでも設定されるわけでなく、一言でいえば「都市にある農地」が適用対象です。

生産緑地は、三大都市圏(首都圏・中部圏・近畿圏)とくに東京・愛知・大阪周辺に広く存在しています。

 

 


1992年から30年の節目となる、2022年。

生産緑地の約8割が、期限満了を迎えると言われており、

「税制優遇を受けられなくなるなら、土地を手放そうかな」

「代替わりしたし、稼働も悪くなった畑を手放そうかな」と多くの人が

土地を手放す方向へ動くと想定されています。

 

手放された都市部の農地は宅地へと転用され、新築住宅が多く建てられ、

住宅の過剰供給・空室の増加・不動産の価格暴落が起こるのではないかされているこれらが、

いわゆる「2022年問題」です。

 

 

宅地転用までの道のりは楽じゃない

指定解除された土地が全て宅地へと転用できるのではありません。

まずは、市区町村に対し土地の所有者が買取りを申請しなくてはなりません。

市区町村は時価で買取りを行いますが、

予算の都合もあり全てを買い取ってくれるわけではありません……。

 

次に、市区町村が買取らない場合には、農林業に従事することを希望する人へ斡旋。

土地を買いたい人が3ヶ月以内に現れなかった場合、

ようやく自由に土地を売却できるようになり宅地へと生まれ変われる権利を得るのです。

 

 

 

政府もこの問題の対策に乗り出しました。

一気に土地が放出されるのを防ぐため、生産緑地とは別に、

「特定生産緑地」という仕組みを講じました。

特定生産緑地は、所有者の同意を得れば

10年間の延長措置(固定資産税の軽減や相続税の納税猶予も変わりなく)が受けられるというもの。

 

これにより手放される土地の数は減り、
住宅の過剰供給・空室の増加・不動産の価格暴落を抑え込めるのではと考えられています。
すでに多くの土地所有者が、特定生産緑地としての契約を結んだ自治体もあり、
政府の対策がしっかりと形になりつつあるようです。
10年間の延長≒10年間問題を先送りになった気もしますが、
現実問題どこまでうまくいくのでしょうか…!
2032年問題として、再びコラムになるようなことがないよう祈る限りです。
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