建築の仕事をしていると、ときどきおもしろい土地と出会います。 皆さんもご存知のところだと、 住宅街によくある旗竿地と呼ばれる、出入口となる道路幅が狭く、 その奥に住宅を建てる敷地があるものや、 3方向を道路に囲まれて三角形の敷地をしているものなどが挙げられます。 東京都内には、狭小地や変形地と呼ばれる土地もたくさん。 今回出会った土地は、画像のオレンジ線で囲われた部分。 この土地、画像内の誰の土地でもないのです! 画像からずーっと左へ行ったところに畑があるのですが、 この土地はその畑の方が所有者。 さて、どうしてこんな変なことが起きたのか? それは昔の土地管理方法が関係しています。 PCなんてものがない時代にも、もちろん土地管理はありました。 (歴史ものの番組内でも、 「褒美としてここの領地を与えよう」なんてことたまにありますよね) “この土地は〇〇さんのもので、範囲はここからここまで”と きちんと管理はされていたのですが、なんせ手仕事。 PCが普及して、手仕事で管理されていたものを正確に直してみると なんだか余分な場所・よくわからない土地がでてきてしまったのです。 周辺の方にお話を伺ってみると、(オレンジ地の)所有者さんは この細長い土地を売るつもりはないけれど、 雑草を抜くことを条件に近隣の方に土地を貸し出しているそう。 うまく区画整備されているに越したことはありませんが、 昔の名残を感じられたり、新しい交流を生んだりしているところに この細長い土地の魅力を感じるできごとでした。 文:吹井美奈子